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その他のがん検査 - 生物診断(がん検査と基礎知識)

一度の撮影で全身のがんをチェックできるというPET検査ですが、より精度の高い診断を得るためには、ほかの検査方法を併用することが有効です。
このページでは、PETとは異なる手法でがんを探す、血液検査や腫瘍マーカーの対象部位や検査方法、メリット・デメリットについて解説します。

生物診断 Biological Diagnosis

対象部位:全身

生物診断

疾患を持つ方の尿や呼気には独特の臭いがある、ということを応用し、嗅覚に優れた生物に選別させる方法です。
2010年代にがん検知犬の研究が進み、マウスを使った実験なども話題に。2020年には線虫がん検査が実用化されました。まだ研究段階にある分野ですが、がんの早期発見の間口を広めるためにも注目されている検査方法です。

線虫がん検査

線虫検査

生物診断の一種です。嗅覚に優れた線虫(線形動物 Nematode)が、がん患者さんの尿の臭いに引き寄せられて集まり、逆に健常者の尿から離れていく性質を利用した検査です。
検査に用いられる線虫は「カエノラブディティス・エレガンス(C. elegans)」という種類で、犬の約1.5倍の嗅覚を持つとかんがえられています。体長は1ミリほどで細長く、体は半透明です。何匹も集まっている様子は、肉眼では微細なホコリのようにも見えます。

検査方法

線虫検査を受ける際は採取した尿を提出するだけで完了します。提出された尿は検査施設に運ばれます。

検査施設では、複数の線虫がいるシャーレの培地上の端に、被験者の尿を1~2滴たらしておきます。その後、線虫の群れが尿に集まっていれば「がんの疑いあり」、逆に尿から遠ざかって逃げていれば「がんの疑いなし」と判断されます。

2020年前後に実用化されたばかりの新しい検査方法で、現在は健康保険が適用されませんが、検査費用は自費で1万円程度と他の検査方法に比べると低価格な傾向にあります。
また一般向けのキット販売もあり、「尿を提出するだけ」で調べられることから、がんの1次スクリーニング検査を多くの方が気軽に受けられることが期待されています。
なお現在、線虫検査では15種類ほどのがんを検出できるとされています。
ただし、あくまでスクリーニング検査なので、検査結果で陽性が出ても、どの部位にがんの疑いがあるのかは判明しません。そのため専門機関で改めて精密検査を受ける必要があります。