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その他のがん検査 - 血管造影 / シンチグラフィ(がん検査と基礎知識)

一度の撮影で全身のがんをチェックできるというPET検査ですが、より精度の高い診断を得るためには、ほかの検査方法を併用することが有効です。
このページでは、PETとは異なる手法でがんを探す、血管造影検査とシンチグラフィ検査の対象部位や検査方法、メリット・デメリットについて解説します。

血管造影検査(血管撮影)Angiography

血管造影検査

対象部位:全身・頭部(脳)の血管

血管の状態や血液の流れを調べるための検査です。血管に造影剤を注入してからX線、またはCT、MRIなどで撮影して血液の流れや血管の状態を撮影します。
使用する撮影機器には、X線、CT、MRIなどがあり、それぞれ長所が異なります。

造影X線

レントゲン(X線)で撮影して血管を描出する方法で、おもにヨード造影剤を使用します。

CTA

CTA(造影CT)

CT Angiographyの略で、CTで撮影して立体的に血管を描出する方法です。おもにヨード造影剤を使用します。3DCT(立体データ)、Perfusion CT(血行動態)などの検査方法もあります。

MRA

MRA(造影MRI)

MRIで撮影して立体的に血管を抽出する方法で、おもにガドリニウム造影剤を使用する場合と、造影剤を全く使用しない場合があります。一般的に造影剤を用いた方が鮮明な画像が得られるとされています。

血管造影の検査方法

太ももの付け根または腕の動脈などから直径1~2mmの細い管(カテーテル)を通し、そこから造影剤を注入して、目的の血管に流しながら撮影します。

血液の流れや血管の状態を調べて、血管の病変(狭くなっている部分、動脈瘤、血管の奇形、血管が破れて出血している箇所など)を探します。

血管造影検査の利用

カテーテルを用いた血管造影検査では、検査と同時に治療が可能で、狭い血管を拡張させる治療や、がん腫瘍の栄養血管(新生血管)を塞栓して栄養補給路を断って腫瘍を消滅させる治療(血管内治療)などを、その場で行うことができます。
また脳や心臓の手術に先駆け、大きな血管が通っていないかなど、手術範囲の決定にも役立ちます。

脳腫瘍検査のための脳血管撮影には、より高精度な画像が求められるので、前述のように、MRIを用いた「MRA」、CTを用いた「CTA」などを用います。

シンチグラフィ検査 Scintigraphy

SPECT検査・シンチカメラ・シンチグラム検査

対象部位:骨、脳、心臓など

PETと同様に、ラジオアイソトープ(放射性物質)で目印をつけた放射性検査薬を体内に注入してから、体内を撮影する方法です。造影検査と似ていますが、造影剤より検査薬の量が少なく、アレルギーのリスクがありません。わずかですが被ばくがあります。

骨シンチ

シンチグラフィ

骨を抽出する検査です。がんの骨転移を調べるのに有効で、薬剤注入の3時間後に検査します。骨に転移しやすい乳がん・肺がん・前立腺がんの方に用いられることが多い検査です。

心筋血流シンチ・脳血流シンチ

血管や血流を調べる検査です。心臓を調べる場合は、エルゴメータ(エアロバイク)をこいで、心臓に負荷をかけてから撮影します。

シンチグラフィ

ガンマカメラ(SPECT装置)

シンチグラフィはRI(核医学)検査なので、放射性試薬を投与して、PETやCTと似た構造の検査機器「ガンマカメラ(SPECT装置)」で撮影をします。
検査する部位によって、平面で撮影をする場合もあれば、ガンマカメラが患者さんの周りを回って3Dで撮影をする場合もあります。全身を撮影する際はベッドが前後にスライドします。