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DWIBS(ドゥイブス)法とは(がん検査と基礎知識)

MRIの一種で、短時間でできて体にも負担の少ない画像診断法

DWIBS法の診断画像と検査装置(MRI)イメージ

DWIBS(ドゥイブス)法は「MRI」を用いた全身のがん検査法の一つです。
PET検査と似ていますが、全く異なる検査法です。

DWIBS:Diffusion-weighted Whole body Imaging with Background Suppression(背景抑制広範囲拡散強調画像)の略称で、2004年に日本人の医師により開発された検査法です。近年、導入する施設が増えています。

DWIBS(ドゥイブス)法とは

DWIBS(ドゥイブス)法では、人体の大半を占める「水分」の主要成分である水素原子核を磁気共鳴映像化することで、患部の正確な診断と転移の進行状態を調べることができます。
そのため、体内で水分量が比較的多い、脳や血管などの検査にも向いているとされています。
CT検査(コンピュータ断層撮影)やPET検査(陽電子放射断層撮影)と似ている部分がありますが、X線や放射線を全く使用せず、磁場を利用して高周波を人体に送ることで撮影をします。そのため、放射線による被ばくもなく、術後に放射性物質が残ることもありません。

DWIBS(ドゥイブス)法は、他の検査と比べて絶食や検査薬の注射がなく、待機時間が短いため、簡単で負担の少ない検査法として注目されています。

DWIBS(ドゥイブス)法のメリット・デメリット

PETやCTなどと比較されることが多いDWIBS(ドゥイブス)法ですが、それぞれ利点や注意点があります。

DWIBS法のメリット

○検査時間が短い、待機時間が不要
検査前後の準備や待機時間がなく、すぐに検査を始められます。検査時間はおおよそ30分ほどです。
検査薬を体全体に行き渡らせる時間も不要です。

○放射性試薬や注射が不要
体内の水分を見るため、PET検査のように体内に放射性試薬を注射する必要がありません。

○検査前の食事制限が不要
糖の消費など細胞の動きを見る必要がないので、検査前に空腹・低血糖にしておく必要がありません。

○放射線を使用しないため被ばくの恐れがない
体内に放射性物質が残ることもないので、検査直後でもすぐに幼児や妊婦に接触することができます。

○糖尿病・腎不全の方も検査可能
PET検査では、高い血糖値や糖代謝異常の方は、、検査前5時間の絶食、血糖降下剤やインスリン注射の禁止などが負担となり、検査をおすすめできない場合があります。
またCT検査では、喘息や腎臓病の方は、造影剤を注入できず、検査を受けられない場合があります。
しかしMRIを使用したDWIBS(ドゥイブス)であれば、糖尿病・腎不全の方も負担なく検査を受けられます。

○豊胸バックの方も検査可能
乳腺にシリコンバッグを挿入している方など、通常のマンモグラフィ検査が受けられない方にも適用できます。

○軟部組織や神経系の撮影に優れている
CT検査やPET検査では判別しにくい、筋肉、靭帯、脳神経系、腫瘍などの軟部組織や神経系の撮影に適しています。微妙な違いを再現し、精細な画像を撮影することができます。また急性脳梗塞の疑いがある場合は、MRIで短期間の検査が可能です。

○服を着たまま検査ができる
体を見られることなく全身の内部が撮影できるので、精神的にも負担になりません。

DWIBS法のデメリット

○細胞の密集度が低いがんは発見しにくい
肺や心臓の周囲など、細胞密度の低いがんは見つけにくいという弱点があります。

DWIBS(ドゥイブス)法の禁忌

MRIを利用した検査なので、MRIの禁忌事項(受けられない条件)がそのままDWIBSにも当てはまります。

下記の方はDWIBSの受診をお控えください

○体内に金属プレートや電子機器を装着されている方
人工ペースメーカーなどの磁気が金属に反応し、画像にノイズが発生する可能性があります。

○閉所恐怖症の方や狭いところが苦手な方
ドーナツ状のトンネルのような機械の中で3~40分間ほど検査が行われます。

○極端に体格の大きい方
MRI装置に入れない場合は受診ができません。

○タトゥー(刺青)がある方
色素に金属成分が含まれている場合は、画像にノイズが発生する可能性があります。

○大きな音が苦手な方
MRI検査中は、断続的に大きな音が鳴り続けます。

○妊婦、または妊娠の可能性のある方
念のため緊急性のない検査は控えるようにしましょう。

DWIBS、PET検査、CT検査の違い

DWIBS法、PET検査、CT検査の診断画像の比較イメージ

いずれも体内をスライス上に撮影し、がんの検査ができますが、以下のような違いがあります。

DWIBS(MRI)法 PET検査 CT検査
原理 水分
体内にある水の分子の拡散を利用し磁気共鳴により映像化(磁場)
放射線
ブドウ糖に近い成分の放射性試薬(FDG)を体内に注射し、PETカメラで全身のFDGの分布を撮影
エックス線
レントゲンと同じエックス線を使用して身体の断面を撮影
得意分野 脳、神経、血管など水分の多い部位 リンパ腫、がんの悪性度の判別、アルツハイマー病など 動いている臓器、細かい部位
食事制限 なし あり
検査5時間以上前から絶食
あり
部位によって異なるが、検査3時間以上前から絶食
注射 なし あり
造影剤を静脈から注射
あり
造影剤を静脈から注射
被ばく なし あり
1回:約2.2mSv
あり
1回:約7.0 mSv
検査時間 30分 3時間(注射含む) 10~15分
検査後の注意点 なし あり
体内の放射性物質を排出するまで待機・検査後、体内の放射性物質が半減するまで半日ほど、造影剤が体外に排出されるまで1日かかる
あり
造影剤を体外に出すため十分な水分を取る

※診療内容はクリニックによって異なります。詳細は直接お問合せください。

DWIBS(ドゥイブス)法はこんな方におすすめ

  • ・特定部位だけではなく全身のがんリスクを検査したい方
  • ・日々忙しく、食事制限等が難しい方
  • ・検査時間はできるだけ少なくしたい方
  • ・糖尿病のため、PET検査が受けられない方
  • ・被ばくの恐れなく検査を受けたい方

 

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