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PET検査とは?(がん検査と基礎知識)

PET検査とは?基礎知識とわかりやすい解説

PET検査とは?

PET検査とは?

PET検査(ペットけんさ)は、がんなどの病変を検査する画像診断法の一つです。
PETは「陽電子放射断層撮影法」を表す、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(Positron Emission Tomography)の略です。
微量の放射線で目印をつけたブドウ糖を体内に投与してから、専用のカメラで撮影すると、がん細胞が光っているように表示され、がんの位置や大きさ、活動の状態を判断することができます。

PET検査について

PET検査の様子と診断画像

PET検査はレントゲンやCTのような画像診断の一種ですが、ごく微量の放射線を出す薬剤(ラジオアイソトープ)を使って、体内の画像を撮影し、病気の診断を行ないます。
核を用いることから、核医学検査、アイソトープ検査、RI検査、ラジオアイソトープ検査ともよばれます
英語では「PET scan(ペットスキャン)」と表記されることが多いようです。

PET-CTでさらに進化

近年、PET単体だけでなく、CT検査と組み合わせてより精度の高い診断を得る「PET-CT、PET/CT(ペットシーティー)」も広く用いられるようになりました。また最近はPET/MRI(ペットエムアールアイ)という装置も実用化されています。 現在、「PET検査」というと、多くの場合はPET/CTも含まれていることが多いようです。

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PET-CT

どうやってがんを見つけるの?

がん細胞はとどまることなく活発に増殖しているため、大量の栄養素を必要としており、正常細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込む、とされています。PET検査はこの性質を利用してがん細胞を見つけ出します。
特殊な検査薬でブドウ糖を光らせておき、取り込んだがん細胞に目印をつけるのです。 いわば、発光するエサをばらまいて、暗闇に隠れている食いしん坊の細胞をあぶりだす、という仕組みです。

光るがん細胞のイメージ

この「光るブドウ糖」にあたるのが、ごく微量の放射線を発するよう合成されたブドウ糖(グルコース)の検査薬で、正式には18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)、一般的にはFDG(エフディジー)とよばれます

同じ画像診断であっても、レントゲンやエコーでは腫瘍の「形や大きさ=見た目」から判断するのに対し、PET検査では「細胞の活動量や悪性度=性質」から判断するという点に、大きな違いがあります。

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PET-CT

PET検査の診断画像(イメージ)

この画像では、赤い部分ほどFDG(ブドウ糖)をたくさん取り込んでいます。診断画像にはメーカーによって様々な表示パターンがあり、必要に応じて白黒やカラーを用いて診断します。

PET検査の画像イメージ
正常と異常の画像比較イメージ

平常時でもブドウ糖を多く消費する脳や心臓、検査薬を尿として排出するための腎臓や膀胱、肝臓などの臓器にはFDGが集まりやすいため、正常でも色がついています
それらを除外したうえで、FDGの集積がある部位(この画像では右の肺)にがん細胞の存在が疑われます。

がんの成長とPETによる早期発見

PET検査では、従来のレントゲンなどの検査では発見しづらかった初期のがん細胞の発見が可能とされています。

がんの成長過程と早期発見

通常、がんは、実際に腫瘍(できもの)ができたり、体に変化が起きたりしてから見つかることが多く、がん細胞の成長がある程度進んでからでないと発見しにくい病気でもあります。
しかし、PET検査であれば全身の体内の様子を一度にくまなく撮影し、細胞の異変に注視しながらスクリーニングすることができます。
形が大きくなる前の異常な細胞を探すことができるので、従来の検査にくらべて、ずっと小さな早期がん細胞まで発見することが可能になってきました。

とはいえPET検査のみでは検出されないケースも半数近くあると言われ、他の検査と併用することでより精度の高い診断が可能になります。

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がんについて

PET検査の費用

気になる検査費用ですが、ケースによって費用が異なります。

がん検診なら自費で10万円前後

がんを発症していない方が「がん検診」として受ける場合は、保険適用外となり、全額自己負担となるため、検査費用は10万円前後となることが多いようです。

すでにがんと診断された方の検査は保険適用に

一方、すでに「がん」あるいは「がんの疑いがある」と診断される方で下記に当てはまる場合に限り、健康保険が適用されます。
がんの疑いがあり、他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない場合

またがん治療を受けている方で抗がん剤の治療効果判定としてPET検査を受ける場合も保険が適用されます。

てんかんや心疾患の検査にも保険適用

PET検査は脳や心臓の血管を検査にも有効で、がん以外にもてんかんや心疾患の検査も保険適用となります。

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PET-CT
PET-CT

PET検査の方法

検査の流れ

必ず事前に予約が必要です。

前日

検査前の絶食

・検査の約5~6時間前から絶食します。水分は摂取できますが、糖分を含まないものに限ります。
・糖尿病などの糖代謝異常の持病がある方、食事制限が難しい方はご相談ください。
・使用期限が2時間と短い検査薬を用意するため、体調不良などによるキャンセルなどは早めにご連絡を。当日は予約時間に遅れないようにご注意ください。

検査当日(PET検査のみの場合)

検査の流れ

1. 問診と診察
2. 薬剤の点滴
検査薬(FDG)を点滴で体内に投与します。
3. 安静
しばらく安静にして全身にFDGを行き渡らせます(1~2時間程度)。
4.がん細胞にFDGが集中します。
5.排尿
検査直前に排尿して膀胱にたまったFDGを排出します。
6.装置で撮影
PETカメラで全身のFDGの分布を撮影します(20~30分程度)。
7.画像確認(再撮影)
撮影された画像を確認します。精度によっては時間をおいてから再度撮影を行う場合もあります。
8.検査終了
体内の放射性物質が減るまで施設内で過ごします。
なお、血液検査や乳がん専用PETなど、他の検査と組み合わせる場合は、検査時間や順序が異なります。

検査前の絶食

帰宅

帰宅後も体内にわずかに検査薬が残っているため、検査後12~24時間は妊婦さんや乳幼児とはできるだけ接触をしないようにします。

 
検査前の絶食

診断

後日、医師から検査結果と診断をお伝えいたします。もし病変が見つかった場合は、専門の治療機関への紹介をしてもらいます。

 

人間ドックや健康診断のコースで受診する場合は、絶食の時間や持ち物などが異なります。医療機関や検査施設の指示をよくご確認ください。

どうやって撮影するの?

検査の様子

着衣のまま、寝台(ベッド)のうえに仰向けで寝たまま、20~30分ほどじっとしているだけで検査が完了します。
先に体表に体動マーカーを装着する場合もあります。
実際の撮影が始まる前に検査技師は退室し、ベッドが自動でガントリ(ドーナツ状のカメラ)の中を通るように動きます。
MRIやCTのような大きな音はせず、ガントリの中も比較的ゆったりしています。
痛みなどの苦痛や、体を押されることや、騒音などの不快感もありません。じっとしていることが難しい方は医療機関にご相談ください。

様々なPET-CT検査装置

PET-CTの検査装置(GE、キャノン、フィリップス、東芝など)
各メーカーによるPET-CTの装置

国内外のメーカーが検査装置を製造しており、より快適でより精度の高い検査ができるように年々進化しています。

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PET検査の流れ

PET検査はこんな方におすすめ

PET検査は衣服を着たまま全身を撮影するだけで、体内の細胞の様子を見ることができるので、以下のような方に特におすすめです。

  • 一度に全身をくまなくチェックしたい
  • 痛みや締め付け、バリウムを大量に飲むなど、苦痛のある検査が苦手
  • 通常の健康診断では見落としがあるのではないかと心配
  • 別の検査でがんではないと診断されたが、念のため他の検査法で調べたい
  • 入れ墨があってMRIが受けられない、豊胸手術経験があってマンモグラフィーが受けられず困っている
  • 肉親にがんの発症が多く、定期的に検診を受けて早期発見に努めたい
  • 数年前にがん治療が終わったが、再発がないか調べたい
  • 大きな音が苦手でMRIが受けられない

PET検査の注意点・デメリット・リスク

PET検査の特性上、検査に適さない場合、特別な対応が必要な場合があります。

PET検査の注意点

日々進化しているPET検査ですが、もちろん万能ではなく、一度で100%正確な診断ができるわけではありません。
これはインフルエンザ検査でも100%の患者を検出するのが不可能なのと同じです。

部位や症例によって異なりますが、PET検査のみで
「がんの疑いあり」と診断されたが、がんではなかった(偽陽性)、 逆に「がんの可能性が低い」と診断されたが、がんだった(偽陰性)、 という結果がでることもあります。
このことは、同じPET画像を見ても、どこまでを陽性と判断するか(感度)、どこからは除外するか(特異度)の設定によっても異なるため、画像以外のデータ(CT、エコー、血液検査など)を考慮することでできるだけ誤差のない結果が出せるようにしています。もちろん診断する医師の熟練度も大切です。
つまり単体の検査だけで済ませずに、複数の検査法を組み合わせることで、もっと精度の高い診断が可能になるのです。

PET検査のデメリット・リスク

・検査前に絶食する必要がある
・検査に時間がかかる(数時間)
・ごく微量であるが被ばくがある(バリウムやレントゲンと同程度)
・がんの種類によっては検知できず偽陰性となることがある
微小ながん、細かくちらばったがん、胃などの粘膜にできたがん、脳や心臓などグルコースを大量に消費する部位のがん、グルコースをあまり必要としないタイプのがんなど
良性腫瘍に反応(偽陽性)が出ることがある
PET検査に適さない方がいる(糖尿病の方、妊婦さんなど)

PET検査に適さない方

  • 糖尿病の方、糖代謝異常のある方
  • 細胞の糖代謝を見る検査なので、正しく診断できない場合があります。
    また検査前に絶食し、インスリン注射や処方薬を控える必要があるため、糖尿病の方は必ず医師とご相談ください

  • お子さま、妊娠中の方
  • 検査に放射線を用いるため、念のため小児や妊婦さんは対象外としています。
    被ばくのリスクがない他の検査(エコーなど)をご検討ください。

PET検査受診で注意が必要な方

以下の場合は検査機関にご相談ください。

  • じっとしていられない方、狭いところが苦手な方
  • 検査中20~30分ほどベッドの上にじっとしている必要があります。パニックを起こしそうな場合は、あらかじめ鎮静剤を用いることもできます。検査機関にご相談ください。

  • 大きなケガや炎症がある方
  • 歯肉炎や虫歯、扁桃腺のハレ、首付近のリンパなど、炎症部分にFDGが集積するため、がんと紛らわしい場合があります。打撲やケガがある部位を問診で申告することで可能性を考慮することができます。

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PET検査の弱点

PET検査のよくある質問

検査時間はどれくらいかかりますか?

PET検査だけであれば、来院から帰宅までトータル3~5時間ほどです。
検査施設や検査コースの内容によって所要時間は異なります。実際にお選びいただく検査機関にお尋ねください。

毎日飲んでいる薬があるのですが?

糖尿病や糖代謝に関わる薬は控える必要がありますが、それ以外の薬は問題ありません。判断に迷う場合は検査機関にご相談ください。

検査当日はどんな服装で何を持っていけばいいですか?

検査着が用意されているので、普段通りの服装で行って大丈夫です。ただしPET-CTやMRIなどの場合は金属を装着できないため、検査時にはヘアピン、イヤリング・ピアス、ネックレス、義歯、ブラジャーを外していただきます。着脱しやすいものがよいでしょう。

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よくある質問

PET検査結果画像の例

がんと診断されたPET画像をご紹介します。正常であっても脳や膀胱、心臓などにFDGが集積して色がついていますが、それ以外の部位に色がついているとがん細胞であると判断できます。

肺がん

矢印の部分に病変が認められます。かなり大きくなっているのが分かります。

肺がん
肺がんのPET-CT画像

肝細胞がん(再発治療)

正常であっても薬の成分を分解する肝臓にはFDGが集積する傾向にあります。しかしながら、一部に強い集積が見られ、病変が判別できます。

肝細胞がん
肝細胞がん

肝細胞がんは、肝臓の細胞ががん化して悪性腫瘍になったものを指します。同じ肝臓にできたがんでも、肝臓の中を通る胆管ががん化したものは肝内胆管がん(胆管細胞がん)とよばれ、区別されます。肝臓を原発とする肝臓がんの9割はこの肝細胞がんといわれています。
肝細胞がんは切除手術や抗がん剤を用いることが多いですが、再発しやすい特徴があります。再発しても小さいうちに治療を行えば消失しやすいとされています。

乳がん(再発治療)

温存した乳房に病変が認められる例です。
CTやX線では高濃度乳腺はしこりと区別がつきにくいですが、PETではFDGの集積が診断の決め手となります。

乳がん再発治療の比較
乳がん再発治療の比較イメージ例

もっと詳しく!PET検査の知識

欧米でのPET検査 ~PET SCAN~

欧米では「がんが疑われたらまずはPETを(PET First)」という言葉があるほど、定着していると言われており、まずはPET画像で診断し、治療方針を決めるのが普通になっているようです。

PET検査なら悪性度を判断できる

がん治療とPET診断

同じように見えるがん細胞でも、悪性度が異なります。腫瘍の大きさ=悪性であるとは限りません。PET検査ではより悪性で活発に増殖しているものほどFDGがたくさん集まり、濃い色がついて見えます。反対に色が薄い部分は悪性度の低いおとなしいがん細胞である可能性が高いと判断できます。

適切な治療を知り、生存率アップへ

がん治療とPET診断

例えば、抗がん剤治療をしたのに、がんの塊が小さくならない、という場合、死んだがん細胞の周りにかさぶたのような線維が形成されている可能性があります。一見、塊が残っているので治療の効果がないように見えますが、PET検査によって細胞の活動が止まっていることが確認できれば、「治療の効果があった」と判断できるのです。

抗がん剤が効いているのか?別の薬に切り替えるべきなのか?…的確な判断をすることで治療の確度があがり、生存率のアップにつながります。CTやMRI、レントゲンでは形や外観だけを見ますが、PETは細胞の活動や性質を見ることができるので、がん細胞がブドウ糖に反応さえすれば見落としが起こりにくいというメリットがあります。
また、手術前にPETでがんの範囲を確認しておくことで、どの部位までを切除すればよいか、最低限かつ効果的な治療の手立てとなります。
治療計画を立てる上でもPETは有効なので、「がんの診断を受けたけれどまだPET検査を受けたことがない」という方は、一度主治医に相談してみましょう。

がんと共に生きる時代に

がん治療とPET診断

がん治療とあわせて、近年は「がんと共に生きる」という考え方も浸透しています。
無理のない範囲で自分らしく生活を続ける一方、定期的にがんの様子を把握しておく、ということはとても大切です。PET検査は一度で体の広範囲をチェックして、再発の有無や転移の広がりを調べられるので、思わぬ場所にがんが飛び火していた、予想より早く広がっていた、という場合の早期発見・早期治療にも有効だといえます。

がん検診以外にも!PET検査の利用

がんの有無を見るだけでなく、がん治療の成果が出ているかを確認したり、再発や転移の有無を調べたり、疑わしい腫瘍の性質を調べることにも利用されています。
さらにがん診断のみならず、アルツハイマー型認知症脳腫瘍、脳梗塞、動脈硬化、心疾患など、幅広い疾患の検査にも利用されています。

同じPET検査でも使う薬によって呼び名が変わる?

がん検査によく利用されるブドウ糖の検査薬はFDGという名称であることから、FDG-PET(エフディージーペット)とよばれる場合もあります。一方、脳腫瘍の検査はアミノ酸を用いることからMET-PET、心臓の検査はアンモニアを用いることからアンモニア-PETともよばれます。 検査薬の種類は他にもたくさんあり、酸素ガスや酸素ガスなどの気体の薬剤を吸入して投与するガスPETもあります。

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